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教育委員会所属栄養士に聴く!食で職とストーリーを繋ぐ

 

山村:さて今日は栃木市教育委員会教育部保健給食課の課長補佐兼指導主事で、日本栄養士会理事の中田智子さんをゲストにお迎えして、食育をテーマに中田さんが育んできたこと、育もうとしていることについてお話をお聞きしたいと思います。中田さん、よろしくお願いいたします。

中田:よろしくお願いします。

山村:さて今日お話を伺う前に、中田さんは学校給食に主に携わっていらっしゃるということなんですけれども今日は、というか食べる物では何が一番お好きなんですか。

中田:何でしょう。肉?

山村:肉。

中田:野菜(笑)。

山村:タンパク質だからね。

中田:はい。

山村:食に関係する仕事をしていると自分の食事というのも相当気を付けるんですか。

中田:相当じゃないですけれども勘で気を付けます。

山村:なるほどね。じゃカップラーメンとかは食べないんですか。

中田:カップラーメンを全く食べないわけでもないです。やっぱり……

山村:やっぱり食べるんですか。

中田:うん。食べて、やっぱり今の味、あれはおいしい味をすごく研究されていますものね。

山村:そういう意味で。

中田:はい。今の現状はこういうおいしい味なんだな、これがおいしく感じる味なんだなとかというのをあれで確認とかもしています。カップラーメンも昔と味が変わっているんですよね。

山村:そうですか。

中田:はい。世の中で食べられる物は駄目な物はないです。

山村:なるほど。結構心強い話というか、私のようにちょっと太っている人には何か。

中田:あとはもう選ぶ力ですかね。

山村:やっぱりね。選択能力の話はこれからまたちょっとさせていただこうと思うんですけれども。主に学校給食に関わられているわけですけれども、具体的にどんなお仕事なのかを教えていただけますか。

中田:学校給食を中心に、学校給食を安全でおいしく、そして楽しく提供し、そして子どもたちが生涯にわたって健康で過ごせるように食の面からアプローチをさせていただいている仕事です。

山村:やっぱり教育委員会の方らしいコメントですよね。

中田:そうでしたか?

山村:うん。すごく新鮮味があっていいですね。あれですか、元々は学校の栄養職員で……。

中田:そうですね。元々は5,800食を作っていた給食センターの栄養士として採用されました。

山村:先生が栄養士を目指すというふうに思ったきっかけはどんなことがあったんですか。

中田:私は高校の時にラグビー部のマネージャーをやらせていただいていたんですけれども、その時に合宿というのがあったんですね。その合宿で朝、昼、夜のご飯を作るんですが、あの時は高校生だったので全然できなかったんですね。でも、みんなは「おいしい」と食べてくれて、で、ラグビーをやっている姿を見て、こういうスポーツをする力の源も栄養なんだろうなと、食べ物なんだろうなと思った時にもうちょっと栄養のこと、食べ物のことを勉強したいなと思って栄養士になりたいと思いました。

山村:なるほどね。何がきっかけになるかは分からないんだね。

中田:そうですね。

山村:今、給食は昔に比べてとてもおいしくなっていると思うんですけれども。

中田:ありがとうございます。

山村:例えば指導主事の立場からとか今のお立場から学校給食をおいしくしていくために工夫していることとか、こんなことを調理員さんとかにお願いをするとか何かその辺のところというのはあるんですか。

中田:地産地消なんかも進んできまして、地元の新鮮でおいしい野菜を取り入れるというような方向も出てきましたよね。それなんかもとてもおいしい給食につながっているかなと思います。栃木市は「とち介ランチ」といって地元の物を活用したメニューを年に6回出しています。

山村:それは例えばどんなものなんですか。

中田:料理長と一緒に開発して、栃木市は宮ネギというのが特産品で、ダルマネギというのは分かります? 緑の部分がすごく多くてちょっと丸々としたネギがあるんですけれども、それを使ってトマトソースにしてチキンにかけてとかそんな開発などもして取り入れたりとかしています。

山村:宮ネギというんですか。

中田:宮ネギというんです。

山村:どうして宮ネギというんだろう。

中田:何か……

山村:〓栃〓ネギのほうがいいじゃないね。

中田:宮という所でできるんです。栃木市の宮という所で。

山村:なるほど。宇都宮の宮ではなくてね。

中田:はい。栃木市の宮という所でできるんです。

山村:向こうに大宮とかもありますよね。

中田:あります。そう。その宮ねぎは不思議でそこの土地でしかできないんですよ。例えば私は大塚というところに住んでいるんですけれども大塚のほうにそのネギを、同じ栃木市内でも持ってきても駄目なんですよ。

山村:じゃ土が違うと。

中田:土が違うと駄目なんですね。

山村:できないんだ。僕はちょっと今のお話を伺っていて、前からお聞きしたいなと思っていたことがあるんだけれども、栄養士さんとかは例えば食材にどういった栄養成分が含まれているかとかということは、数値を出す作業というのは実験的にやるんですか。

中田:食品成分表というのがあるんですね。

山村:うん、できているものはありますよね。

中田:ありますよね。それを基本に使っています。

山村:じゃ自分たちで、例えば宮ネギがこういう食品成分が含まれているということは見るということはあまりしないんですか。実際に自分たちで検査するというか。

中田:土地の物ですからちょっと今話を聞いて興味が湧きましたね。普通のネギと宮ネギというのはどれだけ……

山村:何が違うんだというね。

中田:そう。栄養価が違うのかなとかちょっと確かにやってみたい気がしてきました。

山村:でも今、学校現場というのはアレルギーのお子さんもたくさんいて、たぶん対応していくのをすごく苦慮されている部分もあると思うんですけれどもいかがですか。

中田:もうアレルギーの対応は大変ですね。毎年本当に対象になる子どもたちが増えていますので、それの対応をどうしていくかというところは本当にみんなで考えているところです。

山村:昔はこんなに多くなかったですよね。

中田:そうですね。

山村:栄養士さんたちの立場から見て何が原因なんですか。

中田:お医者さまのお話なんかを聞くと衛生仮説なんていって、きれいなところにい過ぎるとかそんなこともいっていますけれどもね。小さい時に泥遊びをしたりとか家畜に触ったりとかそういうのがなくなったからというお医者さんもいますし、まだまだ食物アレルギーとかアレルギーについては研究段階というところだと思います。

山村:確かにきれい過ぎるのは間違いないよね。われわれが見ていてもそれは感じるんだけれども。なるほどね、そういう。だから、あまり調理する場所もそんなきれいにしちゃうと、ねえ。

中田:でも、それは。

山村:それとこれとはやっぱり別ですか。

中田:それとこれは別で、やっぱり提供するものはきれいなものを出さないと、安全なものを出さないと。仕事としてやっていますので。

山村:そうだよね。でも一軒一軒の家庭なんかを見たら、そんなにきっちりしているところというのはそんなにないでしょう?

中田:そうですね。私はお嫁に行ってちょっといろいろそういうところが難しかったですよね。栄養士あるあるなんですけれども、例えば肉を切ったまな板で次の生の野菜を切れないとか、まな板は分けたいとか。

山村:そういうことを知っていてやってきているとね。

中田:そうなんですよ。

山村:一緒にしているところに行ってやるのは抵抗がある。

中田:何かちょっと、はい。

山村:でも昔はそんなことは一切していなかったよ。

中田:そうですよね。

山村:うちの母親だってそんなまな板を替えたとか、洗いながらやったなんていうのは見たこともないし。

中田:そうですか。裏返していたかもしれないですよ。そんなことはないですかね。

山村:いや、ないな。そんなことはないな。

中田:そうですね。自分のときの子ども時代を思い出してもそうかもしれないですね。でも何となく習うと菌が見える気がするんですよ。

山村:菌が?

中田:はい。

山村:それはある意味でワーカーホリックみたいだよね。

中田:ええ、栄養士あるあるかもしれませんね。

山村:そういうことね。なるほどね。これから、2020年からいよいよ新しい学習指導要領の中でも食育の部分というのは結構大事に……

中田:ありがとうございます。

山村:されてくるといいなと思っているんですけれども。

中田:そうですか。よかった。

山村:それはでも、やっぱり大事なことだと思うので、これから栄養士、今は栄養教諭というんですか。

中田:そうですね、はい。

山村:平成28年のデータで見ると栃木県とかはまだ100に満たないんですよね。

中田:そうなんです。

山村:この辺りというのは増えていく可能性というのはあるんですかね。

中田:自分の立場からは増やしたいんですけれども、そこもお金がかかる、予算がかかることなので。

山村:もちろんね。

中田:それを決めるのが栃木県なので。私たちは栄養教諭を増やしてくださいと要望はしているんですけれども、そこはなかなか難しいところですかね。

山村:僕も今回中田先生にお越しいただくということで、食育に関する資料というかを見たりしてきたんですけれども。

中田:ありがとうございます。

山村:食の部分というのは扱い方によっては生き方であったりとか、栄養だけではなくて。

中田:はい、そうです。

山村:ある人の生き方であったり、そういうことに触れながら本当に子どもたちに最終的に生きる力を身に付けさせていけるものでもあるなというふうにちょっと思うところがあって。

中田:ありがとうございます。

山村:でもそれをやっていくためには、その中心的な役割を果たす栄養教諭のような方たちがいないとなかなかうまくカリキュラムも含めて組み立てていくことができないなというふうに思っているんですけれども、その辺はいかがですか。

中田:ありがとうございます。私も本当にそう思います。この間、宇都宮大学で地域食育論のゲストスピーカーをやらせていただいたんですけれども、その時に学校給食の思い出なんていうのを聞きましたらすごく盛り上がりまして。さらにその内容なんかを聞くと、「食器の並べ方がその時に分かったよね」とか、あとは「友達に箸をちゃんと持てと言われたから持てるようになったよね」とかすごくいろんな思い出から学んでいるんだなというのも思いました。あと家庭科の授業なんかも覚えていて「今1人暮らしを始めたけれども自炊しています」みたいなことも言っていて、やっぱり成長期とかそういう学校におけるこういう学校給食と食育というのは大切なんだなと逆に教えてもらったかなと思います。

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