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コンサルタント社長に聴く!本質を紐解き、導く人の育み

山村:さて、今回の対談のお相手は、株式会社日本経営、代表取締役社長の平井昌俊さんです。1967年に創業された日本経営は、医療や介護分野を専門にコンサルティングを行っています。今回、私たちは、東京の天王洲アイルにある東京支社で平井社長のお話を伺ってきました。まず、平井さんが社長を務められている日本経営について、ちょっと簡単にご紹介いただけますでしょうか。

平井:よろしくお願いいたします。今回お越しいただいたこの東京を含めまして、今、全国で仕事をさせてもらってます。経営のコンサルティングファームということと、グループの中には、あと、会計の仕事をしている社員もおりまして、大阪が本社ですので、大阪本社で350名、それからこの東京の支社、こちらのほうに150名、あと、札幌それから福岡それから松山、これで合わせまして600名で仕事してます。私どものクライアントは全国にございまして、病院それから診療所、町の開業医さんです、それから介護事業をされていらっしゃる含めて病院のクライアントが全国で北海道から沖縄まで600件。それから介護の事業を営んでいらっしゃる方が今300件あまり、それから、開業医さんは1000件ということで、日本全国、社員が飛び回ってるというそういう会社です。社歴は52年でして、今や、1967年に創業しまして、創業者は税理士です。もともと会計の仕事をしてたんですが、会計の仕事からコンサルティングという仕事に派生をして、今に至ってるということで、特に医療、介護の仕事をしてますので、健康管理ということが非常に重要な仕事なので、社員の健康ということも考えながら仕事をさせてもらってる、そういう会社です。

山村:ありがとうございます。なかなか一般の方ってコンサルティングって、何やってるんだろうなって思うんじゃないんかなと思うんです。コンサルティングって具体的にどんなことをされてるんですか。

平井:一言で言うと、経営を今よりもよくする仕事です。良くするっていうのは、経営ですから、利益がどうやったら将来にわたって出すことができるかっていうことのアドバイスをしていく仕事です。

山村:平井さんもずっとコンサルをされてきたんですか。

平井:私は1984年に入社したんですが、その当時はまだ会計の仕事だけしかありませんでしたので。もともと税理士になろうと思って今の会社に入社しました。ただ、税理士には向いてないってことが分かったので、税理士の道は諦めました。

山村:その転機っていうか、税理士を目指していて、いや、コンサルだっていうそちらに方向転換されたきっかけっていうのは何かあったんですか。

平井:税理士という仕事は非常に重要な仕事で、税務の申告ですとか、決算ですとか、重要な仕事ではあるんですけれども、結果なんです。決算書にしても財務諸表っていうのも、経営した結果がそこに現れるんであって、私はその手前のところの、結果を残す前のプロセスのところを関わりたいっていう考えがありまして、そのプロセスに関わろうとしたときに、コンサルティングっていう仕事があるっていうことが分かりまして。私どもの創業者もやっぱり結果だけではなくて、その経営そのものを良くしていこうっていうことで、コンサルティングの部隊を会社の中につくりまして、そこに私は異動して、それでコンサルティング始めたっていうのがきっかけです。10年ぐらい会計の仕事はしてました。

山村:大学は、学部はやっぱり経営関係なんですか。

平井:私は大学、行ってないです。高校卒業してすぐ。

山村:日本経営に入っちゃったんですか。

平井:はい。創業者もそうですし、今までの歴代の社長はみんな大学には行ってないです。

山村:ご出身は、失礼ですが。

平井:私は、福岡県。

山村:アメリカに留学されたって。

平井:1998年に1年間、アイオワ大学という。

山村:1998年ですか。

平井:病院経営管理学、当時は日本で病院経営管理学を教えてる大学はなかったので、アメリカに1年間、行きまして、病院経営管理学を学んできまして。そこは大学院です。それは、世界中から学びに来られてまして、ドイツの救急救命士さんですとか、インドのドクターですとか、そういう方たちと英語を交えながらコミュニケーション取って、病院経営管理学を単位制で学んでいくっていう。全く英語できなかったんですけど。駅前留学だけちょっとだけして。

山村:よく頑張りましたね。

平井:当初、行って、9月からアメリカの大学ですから新学期がスタートするんですけど、12月ぐらいに、当時の社長から電話がかかってきまして、もう雰囲気だけ味わったんだから帰ってきたらどうって言われて、そういうわけにはいかないと。その後、また私の後に続いてくるっていう予定だったので。ここで帰ってしまったらその道が閉ざされてしまうので、あと1年間。

山村:その頃、つらかったり楽しかったりっていうのは。

平井:楽しかったです。本当に英語でコミュニケーション取りながら、アメリカで生活していくっていう。家族も一緒に行ってましたので。3歳の長女と7歳の長男と、あとは家内と4人で行ってましたので。随分、楽しませてもらいました。

山村:そのときのことで、今、役に立っているっていうようなことは何かあるんですか。

平井:やっぱり、外から日本を見るっていう、世界地図でも自宅にも貼っといたんですけど、真ん中にアメリカがあるんです。普通は日本が真ん中にありますよね、日本ですと。ですからアメリカが真ん中にあって、世界地図があって、それを見てて、いかに内側からしか日本を見てないなっていう。ちょうど私が行ったときに、北朝鮮からテポドンっていうミサイルが発射されて、これ、日本の上空を越えて行ったんです、当時。翌日、「テポドンが発射されて日本の上空を越えて行ったけど、日本の国民はどう思ってるんだ」って言われて。そのときに自分にはやっぱりオピニオンがないなっていう、すぐ答えられなかったです。あなたの考えどうなんですかって言われたときに、すぐ答えられなかったので、いかに日頃そういうことを考えてないかなっていうことを痛切に思うと同時に、世界の中でいろんなこと動いてるっていう、それをいろんな国の人たちと話をしていく中で、そういう世界観がないと、日本だけ見てても社会の出来事を含めて動いてることっての事実は分からないなっていうことはよく分かりました。

山村:なかなか意見が言えないっていうのは、今も同じような風潮があると思うんです。その辺は、どんなふうに社長として感じられてるんですか、今の社員に対して。

平井:今だけを見てても分からないっていう、それは時間軸もそうなんですけど、現在の状況だけを見てても、物事の本質って分からないので、時間軸でいうと、過去もきちっと知りましょうと。それは、史実ということで歴史をやっぱり今は形成されてるこの事実が、どういう経緯をたどって今に至ってるのか。じゃあ、未来を見ようと思ったら、過去も見ないといけないし、今も見て、本当に良き未来をどうつくっていくのかと。ちょうど先週も鹿児島県の知覧という特攻隊の基地があった所です。そこに行って、どうして日本が第二次世界大戦に進まなければならなかったのか。その背景があって、第二次世界大戦があって、日本が経済復興を遂げて今があって。今じゃあ、いろんな国とも、中国や韓国もそうですけれども、いろんなことが今、言われてますけれども、それがどうしてそういうふうになってるのかっていう、この過去のことを知らないと、未来のことが、本当に将来いいっていう判断にならないわけであって。そういう過去のことも含めて時間軸っていうのをまず知りましょうっていうことと、それから、日本で今、起きてることは、世界のどこの国が基点になってそういうことが影響してるのかっていう。それは経営と何ら関係ないように思いますけど、経営も全く同じで、今あるのは過去のことがあって今の経営があるわけですし、経営者の方の考えがあって今があるわけですから、その経営者の考え方ですとか、過去のことを知らないと、いいアドバイスもできませんし。ときには、反対の意見を唱えないといけない場合もやっぱりあるわけですから。それは本当に客観的に、将来に向けて経営が良くなっていくのか、それは今の日本の、今の現在の姿だけ見ていてもそれは分からないでしょっていうことは話はするんですけど、なかなか実体験がないと分からないでしょうね。

山村:今、若い人たちを見てると、構造的に捉えるっていうか、それが苦手だなと思うんです。だから、特にコンサルする人たちっていうのは、構造的に捉えていけないと、問題解決になっていかないんじゃないかなっていう気もしたりしてて。

平井:多くのコンサルティングファームは、今だけ見てるコンサルタントのかたがたが多いと思うんですけど、本当にそれが未来永劫にわたって良くなっていくのかっていう考え方がないと、一時的には良くすることができても、じゃあその後、悪くなってしまったら私たちの本来の役目じゃないっていう考え方を持ってますんで。ですから、そういう意味で、まず私たちは、お父さんお母さんのことをちゃんと知りましょうっていうことを。今、自分があるのはお父さんお母さんがいるので今があるっていうことで、親孝行をしましょうねっていうことを。

山村:大家族経営でしたっけ?

平井:そうです。

山村:というのが一つの社是というか。

平井:大家族主義っていうことがありました。自分のことを一番よく知ってるのはお父さんお母さんなので、一番、身近にいる人を、自分のことを一番よく知ってる人を喜ばせることができなければ、経営者は赤の他人ですから、その方を本当に喜ばせることができるんですかっていうことで、親孝行っていうことも言ってます。ですから、入社して初任給のときには、貰って、ゴールデンウイークに全部、会社が帰省のする費用を出して、みんな実家に帰すんです。その前に、お父さんお母さんに手紙を書いてもらって、帰る練習をするんです。新入社員が、お父さんとお母さんの役目をして、自分が書いたつもりで、お父さんお母さんにその手紙をもとにして感謝を伝えていこうっていう。よく言うんです、今、大体、健康寿命っていうのが日本の方でも平均75歳。75歳は自分のことが自分でできる年齢が健康寿命ですから75歳。じゃあ、自分のお父さんお母さんが、75歳まであと何年間ありますか。そうすると、25年とか30年とか言うわけです。1年間に、お父さんお母さんと何回これから会えると思いますか。直接、話しをしてる時間ってどれぐらいありますかって聞くと、そうするとお父さんお母さんに会える時間っていうのが、実はずっとあるようで本当はあまりないっていうことが分かると、本当にそっから真剣なモードになるわけです。最初はそんなことやってられるかみたいに照れながらやってるんですけど、その話をした途端に、みんなスイッチが変わるんです。本当に1回1回、会える機会を大切にしないと、自分が会える時間っての限られてるんだっていう。そうすると、感情が込み上げてきて、みんな号泣です。

山村:社員を育んでいく上で、トップとして何か気を付けてることとかってありますか。

平井:やっぱりその人が育ってきた環境ですとか、考え方ですとか、それは今すぐには変えられないですよね。ですから、なかなか個人情報があって、今は面接のときに聞けないんですけれども、入社してから聞くのは、その人がずっとどういう生い立ちで成長してきたのかっていうことを聞くようにしてます。それに基づいて動議付けをしないと、頭ごなしに、例えばうまくいったことを、失敗したことを言ったとしても、それなかなか本人に、自分の習慣や考え方って変えられないので、結果、変わっていかないです。変えていこうとすると、考え方を変えないと変わっていかないので、まず本人より生い立ちからその考え方がどう理解をした上で、それぞれの人たちに応じたアプローチの仕方っていうことをやっていくっていう。

山村:今までにこうだった社員が、こんなふうに変わったっていうのは。

平井:たくさん変わった社員を見てきました。キャリアの方で転職されてこられて、なかなか周囲の言うことを聞かずに、自分のことをずっと考えを貫いて耳を貸さないっていう社員がいたんですけれども、話をよくよく聞いていくと、幼少の頃に豪邸に住んでたそうなんですけど、おばあさんと一緒に。ある日、突然、家を追い出されたそうなんです。家を追い出されて、本当に苦労されたみたいなんですけども。その話を大学の時代に、大学の教授に話をしたら、絶対、人は信じるなと言われたんで、私はそのことをずっと自分の考えの中で守ってきましたと。その追い出されたのは、親御さんのごきょうだいが影響で追い出されたみたいなんですけど、そのとき、追い出されて反論しなかったそうなんです。おばあさんと一緒に住んでて、面倒もみてて。何も言わずに引っ越しされたそうなんですけど。本人さんに言ったのは、「どうして親御さんが一言も何も言わずに、清く身を引かれたのかって分かる」って。その社員は一人っ子なんです。「なんででしょうね」って言うから、「それは、一人っ子で、将来、1人で置いといたら心配なるから、いざこざを起こさずに、いとことも将来、仲良くやっていけるようにそういうふうに決断して、清く身を引いたんですよ。それ、聞いてみたらどう」って言って話が終わった後、すぐ電話したら、「よく分かったね」と、「そのとおりだよ」と、「なんで分かったの」って。「社長と面接して、その話を聞いて」って。その後、実家に帰ったら、「いつか話そうと思ってたけど、実はそういうことでそういうふうにしたんだよ」と。そっからもう、今までと全く180度、変わるぐらい、周りの人と協調しながら仕事をするようになっていったっていう。だから、本人も気付いてないんです。自分は大学の恩師の言うことをずっと守ってきたっていう一念があるんですけど、でもその話をしてから、本当にそういうことで今があるのは、親御さんがそういう考えがあるからだってことに触れたときに初めて大きく考え方が変わるっていう。考え方が変われば当然、行動も変わりますから、結果も変わってくるわけなので。それが一人一人、物語があるので、その物語をひも解かないと動機付けになかなかなれないと思うんです。

山村:今の話なんか、抑圧をきっと自分自身にしてきてるんだけど、それを開放してもらったっていうところが、その人にとってはエポックメーキングのときだったと思うけど。そういう人に出会えるか出会えないかって、人生ってそこが違うから、だからそういう意味で、すごいですね。カウンセラーみたいじゃないですか、なんか。

平井:コンサルタントっていうのは、一種そういうとこあります。経営者の方の悩みをお聞きするので。なかなか自分の組織の中でお話できないことを赤裸々に話をしてくださるので。

山村:どうですか、コンサルをしてて、お客さまの中で、との関係の中で、こんなに変わったっていう何か差し支えない範囲でエピソードというか。

平井:私の父も事業をしてましたので、事業をしてたんですけど3回、失敗しまして。当然、担保に自宅ですとかそういうもん全部、入れてますから、その経営が失敗するってことはそれ、身ぐるみ剥がされるってことですから、そういう経験をしてきたんですけれども。私も入社した当時は、父が事業を失敗しなければ、もっと裕福な生活もできたし、もともと大学にも高校の恩師からは行ったらどうだっていう。ただ、家庭の状況を見たら、実際、無理だっていうことで日本経営に入社したんですけれども。心の中では、どこかで父が事業を失敗したっていうことに対して、父に対して憎しみというか、そういうものがあったと思うんですけど。あるとき、私のクライアント、担当しているクライアントに私のことを聞かれて、そういう話をしたんですけれども、その経営者の方から言われたのは、「平井さん、経営者は、誰も失敗しようと思って経営してるわけじゃない、家族を幸せにしようと思って経営しているわけだから、お父さんはたまたま3回、失敗したけど、それは何とか家族を幸せにしようと思ってトライしたんだから、そのお父さんの考え方っていうのは知ってあげないと、お父さん寂しいんじゃないの」って言われて。そのときに、父の本当の考えに触れたというか。いかに自分が一方的に父を見てたのかなっていうことを分かって、やっぱり寂しかったんだろうなと思いましたけど。今では全く何の違和感もなく父と接してますけれども。そういう実際、報酬いただいてコンサルティングっていう仕事をしてるんですけれども、経営者のかたがたに教えられることが多いです。自分の両親よりも年齢の上の方たち、当時はたくさん接していましたし、その方たちからいろんなこと教えてもらう。これは報酬をいただきながら仕事してるわけですけど、本当に恵まれた人生経験というか、そういうことを直接、語っていただいて、そこから得ることたくさんあるわけですから。本当にお金で買えないものを、数多くの経営者から教えてもらってるなという。それは今でも日本経営グループの社員、同じだと思うんですけど。

山村:若手の社員というか、コンサルをしている人たちは、こんなことに気を付けたらもっと伸びて行けるよってゆうようなことってのは、何かアドバイスされることはあるんですか。

平井:まず、本当に自分が関わったクライアントをどうしたいのか、本当に良くしていく決意があるのか、そこをまずどう思ってるかってことを尋ねるようにしてます。だから、どうしてもコンサルティングって分析とか手段に走りがちなんですけど、私たちの使命は、経営を良くしていく、経営を良くするってことは、そこに関わっていらっしゃる社員の皆さん、職員の皆さんがたがいらっしゃるので、当然ご家族もいらっしゃって。その方たちが幸せになっていただくっていうことは、経営を良くしていくっていう、そこに多くの方たちの人生がそこに関わってるっていう。じゃあ、あなた自身はそこをどういうふうに考えてますかっていう。どうしても一経営者しか見てないんですけど、そこには多くのかたがたの人生がそこにクロスしてるわけであって、その方たちのことも含めて、経営ってどういうことなのかっていうことを考えてもらうように、一番最初には言ってますけど。頭では理解できても、なかなか実際に理解するまで時間かかるでしょうね。

山村:とっても抽象的な思考ですよね、そこに必要なのは。その平井さんご自身が、例えば、ご自身で育んでいきたいこととか、あるいは社員に育んでいきたいことでもいいんですけども、ご自身のほうがいいかなと思うんですが、何かありますか。

平井:今、私で4代目なんですけれども、私が今、試行してるのが、日本だけじゃなくて、世界とどう関わりますかっていう。ですから、今、アジアの諸国とどう関わりを持つかっていうことで、この介護の人材にしてもそうですし、そういうことを今やってます。そういったヘルスケアの分野で、海外との接点を持つっていうことが一つと、二つ目は、社会保障費がこれだけ毎年、増えていく中で、どうやって病気にさせないか、病気になったとしても、どうやって早期に発見していくのか、重症化させないか。そういうことが必要なので、予防と重症化予防っていう、このことの取り組みを国内では進めていこうと。どうしても分析したりとか、それが、手段が目的になってしまうことが多いので、それはもう手段なので、その先にあることが何なのかっていうことをわれわれコンサルタントは考えないと、そこがAIでもできないことですし、人間ができる唯一の領域ですから。

山村:ということで、平井さん、きょうはお忙しい中、お時間をいただきまして、ありがとうございました。

平井:こちらこそ、ありがとうございました。

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